蝗攘祭
こうじょうさい
所在地:大分県由布市湯布院町川上
蝗攘祭は古来より伝わる、五穀豊穣を願う虫追いの行事(害虫を追い払う行事)を再現したもので、山笠を先頭に男衆たちが市内を練り歩く行列が見ものです。
蝗攘祭の藁人形
のぼりや松明を持った行列が囃子と掛け声で勇壮に町中を練り歩く、五穀豊穣を願う虫追いの祭りです。
町内に飾られている藁人形は、実盛(さねもり)どん。と呼ばれ、行列のお囃子では「実盛どんのごー死んだー、後あ、富貴萬福利」と唱えています。これは平安末期の武将・斎藤実盛が稲の株につまづき敵に討たれたことで、稲を恨み、害虫となって稲を食い荒らすのだという伝説にちなんでいます。蝗攘祭(現地ポスターより)
町中に飾られた実盛どんの藁人形
駅前から出発する蝗攘山笠
藁人形を乗せた牛をひく行列
私が初めてこの蝗攘祭を観たのは、20年以上前です。当時は、山笠もなく、由布院の町中を松明を持った人々と藁人形を背中に乗せた牛が「モ~」と鳴きながら、厳かに行列していっていました。暗闇の中、松明の灯りだけで、藁人形を背中に乗せた牛がそのそと行く姿と「さねもりどんのごーじんじゃ、あーたーふーきまんぷくり」と唱えながら歩く人々が不気味でもあり、興味深くもあり、その姿を追いました。行列は三角州に辿り着き、牛の背に乗せていた藁人形をどんどん火の中に投げ入れて燃やしていました。おどろおどろしい大変強烈な印象を受けました。
藁人形を乗せた牛
後にそのお祭りが蝗攘祭という祭で、上記の様な意味があることを知りました。今は大変賑やかになっていますが、当時のあの厳かな雰囲気は今も忘れることができません。
町中を歩く、藁人形を乗せた牛
松明を手にした男衆
火の中に投げ込まれる藁人形
行列は三角州に到着すると、牛の背から藁人形を降ろし、火の中に投げ込みます。
源流太鼓
蝗攘祭のクライマックスは、三角州で行われる大松明。源流太鼓の演奏とともに藁人形の実盛どんは燃やされ、天へと送られます。町内の若手グループ「湯奔会(とうほんかい)」による蝗攘山笠、商工青年部のお囃子隊が祭りに勢いをつけます。(以上ポスターより)