大興善寺の紅葉
大興善寺には約500本のもみじの木があるそうです。他にも紅葉している木がありましたので、総数はもっと多いと思います。大興善寺の紅葉は、「感嘆の紅葉」「感動の紅葉」と呼ばれています。それほど、皆を圧倒するような美しさです。
仁王門と紅葉
所在地:佐賀県三養基群基山町大字園部3628
天台宗 別格本山 大興善寺境内
大興善寺は、小松山観世音として近隣の信仰を集めている古刹です。平安の昔より伝わる火除け祈願のほか、家内安全・厄除け・交通安全等などの祈願に訪れる参拝客が後を絶ちません。紅葉のシーズンは、仁王門の瓦に紅葉が映え、優美な雰囲気を醸し出しています。
紅葉もやや終わりかけの時期でした。しかも生憎の雨模様。それでも美しいのが大興善寺のすばらしさです。でも、お天気がよかったら、もっともっと美しいでしょうね。
当日は生憎雨で、境内は朝もやに包まれていました。紅葉した木々も本堂も石塔も朝もやに包まれ、幻想的な雰囲気でした。幽玄の世界へと誘ってくれるようでした。 本堂横の石段です。境内の石畳も紅葉の色が映り込み、なんともいえない風情を醸し出していました。毎年つつじの時期と紅葉の時期は、早朝からカメラマンがたくさん訪れています。
仁王門から覗くと、境内の石畳に紅葉が映り込み、さらに本堂前の石段にも紅葉がかかり、本堂には、紅葉のカーテンがかかったようにみえます。
紅葉した赤や黄色の葉っぱもきれいですが、境内の木の枝振りがいいのも見応えがあります。紅葉した葉っぱが背景になり、幹や枝の様子が鮮明に映し出されていました。当たり前ですが、幹や枝や根っこがあってこその紅葉なのですね。すごく当たり前のことが、なんだか新鮮です。
山寺の風情と紅葉が織りなす風景は、錦絵の様です。11月中旬から12月初旬にかけてが紅葉のシーズンです。11月中旬から11月下旬にかけては、紅葉狩り臨時バスも運行されます。
大興善寺第97世御住職の後ろ姿です。昭和10年生とのことですので、82歳(平成29年)ですが、ブログもさくさくこなすお方です。参拝中に気さくに声をかけてくださいました。写真に写っています小さな男の子にも優しく話しかけられていました。声が大変よく、お話(説法)もとても解り易くて勉強になりました。22年間学校の先生をされた後、昭和56年から大興善寺の専業住職となられたそうです。それで、お説法もブログの記事もとっても解り易いのですね。納得です。
大興善寺の本堂は、江戸初期(1624年)、宗対馬守義成公により再建されたものです。杉皮葺の屋根が古刹の風格を示す趣がある建物です。
本堂
鰐口
大興善寺の鰐口は、明治になるまでは太宰府天満宮の宿坊「六度寺」にあったものを、大興善寺に明治維新後移したものだそうです。鰐口は、金口、金鼓とも呼ばれる金属製梵音具の一種です。鐘鼓をふたつ合わせたような形です。
奉燈
本堂の屋根
大興善寺の本堂は、江戸初期現和10年(1624年)、宗対馬守義成公により再建されたものです。
展望所
弁財天
新客殿、お茶の家の上の方に池があり、その中に朱色の鳥居があります。池は弁財天の池と呼ばれています。
大辯財天
徳川末期ノ徳僧 豪潮律師ノ弟子 慈巖律師ノ護持佛
従来本堂内ニ安置セシモ 廣ク大衆化益ニ資スルタメ 当公園内ニ奉安ス(現地案内板より)
辯財天
台風13号の置き土産の切り株
石段の上を覆うように張り出した枝もみごとに紅葉していました。紅葉ごしに、本堂の茅葺屋根がみえるのもいいですね。大きなクスノキ、杉や檜の木立、銀杏やもみじの紅葉が苔むした杉皮葺の本堂の屋根と調和して、古刹の風格と雰囲気を醸し出しています。
庫裡のそばに水車がありました。庫裡は本堂の右手の方にあります。茅葺屋根で趣がある建物です。
写真の水車ではありませんが、大興善寺大駐車場の近くのちぎりの里の二連水車周辺(小松地区 水車とう精施設前)で毎年11月に水車まつりというイベントが開催されています。以前、ちぎりの里のつつじみそを買って帰りましたが、米麹と麦麹のバランスがよく、とっても美味しいお味噌でした。また、みそ漬けや野菜かりんとうなども販売していました。野菜かりんとうは、よもぎ、味噌、生姜、紫芋、黒大豆、かぼちゃなどの味があります。佐賀県産小麦に地元の野菜や素材を練りこんで作ったそうです。甘さ控えめで、さくっとした歯触りの美味しいかりんとうでした。
石段の左側には枯山水があり、突き当りには、存在感がある立派な石塔があります。豪潮律師発願八万四千塔の最初の塔です。
豪潮律師発願八万四千塔の最初の塔 大きな宝筐印塔は、豪潮律師発願八万四千塔の最初の塔です。発願主豪潮律師は、肥後國玉名郡の天台宗専光寺の名僧で、この大興善寺にあって、八万四千塔の建立を発願し、享和2年(1802年)その最初の塔をここに創建しました。ダイナミックで力強いこの塔は、豪潮律師の願が込められているように感じます。
赤い実
日本庭園の中に色とりどりの木の実がなっていました。赤や黄色の木の実が雨に濡れて、宝石のようでした。私は赤い実というと、南天の実をすぐに思い出します。他にも万両、千両もありますね。この写真を傘を差しながら撮っていた時に、参拝者の方から、「万両、千両の他にも百両、十両、一両もある」と教えて頂き驚きました。子供の頃、母から「万両は葉の下に、千両は葉の上に実が付く」ということは教えてもらっていたのですが、百両、十両、一両もあるのは全く存じませんでした。その後、図書館で赤い実をつける植物を図鑑で調べに行ってきました。いやはや、その種類の多さにびっくりです。赤い実も奥が深いです。
黄色い実
マユミの実
マユミは、ニシキギ科ニシキギ属の木です。別名ヤマニシキギとも呼ばれます。熟すと果皮が4つに割れ、鮮烈な赤い種子が4つ現れます。正に写真の状態です。マユミの材質は強く、更によくしなる為、古来より弓の材料に使われています。そのことから、マユミ(檀弓・真弓)と名付けられたそうです。
参道の民家の軒下には、干し柿を吊るしている光景も見られます。のどかでいいですね。