旧下村家住宅
江戸時代の後期に建てられたと言われている、くど造りの町家です。現在は「塩田津町並み交流集会所」として活用されています。
所在地:佐賀県嬉野市塩田町馬場下甲694
旧険量所の隣に建つ町屋で、屋根はコの字型のくど造りです。以前は草葺屋根だったそうです。江戸末期には蒟蒻屋、大正時代は運送業、昭和に入って自転車屋を営んでいたそうです。
旧下村家住宅
嬉野市指定文化財 平成20年7月1日指定
旧下村家住宅では『嬉野市塩田津』重要伝統的建造物群保存地区に残る、数少ない『くど造り』の草葺き町家です。
『くど造り』とは、上から見て草葺きの屋根がコの字形になる民家のことをいい、コの字形をくど(竃=かまど)に見立てています。
一階入り口は吊り大戸で開口部が広く、土間列にミセ、イマ、ブツマが並んでいます。二階の天井は白漆喰で仕上げられ、船を逆さにした形の『船底天井』は、天井を高く見せる効果もあります。
慶應2年(1866年)の町絵図には「蒟蒻ヤ」とあり、建築年代は和釘が使用されていることなどから江戸後期に遡ると推定されます。大正期には、裏庭に続く塩田津を拠点に、海運業を営まれていたようです。
また、明治12年生まれの下村龍吉氏は、飲料水を井戸に頼らざるを得なかった塩田地区の水資源確保に尽力されています。
昭和16年の水道組合設立から簡易水道の設置、その給水開始に至るまでの関わりは、衛生管理が万全でなかった時代に明るい光を灯しました。
昭和30年にはその功績を表して「下村龍吉翁頌徳碑」が建立されています。
当主だった龍吉氏は、この慶事に際し『組合の真心こめて立し碑よ けがしてくれるな 家のほまれを』と詠み、下村家の家訓となりました。
平成19年(2007年)に所有者のご厚意で嬉野市に寄贈され、建築当時の姿に復元されました。
平成26年3月 嬉野市教育委員会 (現地案内板より)
陶石を砕く水車の模型
ステンドグラス
塩田津
廻船問屋・旧西岡家裏庭で、天草陶石の仕分け作業をする人々