旧唐津銀行
唐津出身の建築家・辰野金吾の弟子、田中実が設計した旧唐津銀行本店の建物です。
所在地:佐賀県唐津市本町1513-15
入館料:無料
営業時間:9:00~18:00
休館日:12/29~12/31
設計監理:公益財団法人 文化財建造物保存技術協会
施工:清水建設・唐津土建工業共同企業体
建築構造:煉瓦造り・地上2階建・地下1階・スレート葺および銅板葺、北西隅塔屋付、塔屋スレート葺
完成:明治45年(1912年)
階数・高さ:地上2階・地下1階
敷地面積:1,431.73平方メートル
延床面積:916.99平方メートル
地階:311.7平方メートル
1階:311.73平方メートル
2階:273.08平方メートル
塔屋:20.45平方メートル
外壁は当時最新の建築材であった煉瓦調のタイルを使用し、赤レンガと白御影石のコントラストが美しく、格調高い仕上がりになっています。
旧唐津銀行は、唐津出身の辰野金吾の思想が込められた「辰野式」赤レンガ建築と呼ばれています。辰野金吾の建築デザインは、イギリスのヴィクトリア様式のひとつとして知られるクィーン・アン様式を日本化したもので、辰野式と呼ばれています。ギリシャ、ローマに始まる古典系様式とゴシック様式を自在に折衷し、細部を自由に崩し、赤レンガと白い石を混ぜるのは、クィーン・アン様式の特徴です。これに屋根の上へ塔やドームなどを乗せて王冠性を強調するという辰野流の工夫を加味して成立している、変化に富んだ賑やかなスタイルです。
旧唐津銀行本店は、約2年の復元工事を経て、平成23年3月26日から一般公開されました。明治45年(1912年)に竣工してから約100年が経った現在、創建当時の姿に忠実に復元された旧唐津銀行。
玄関
古き良き時代を偲ばせる玄関です。木製の扉は温かさがあります。
辰野金吾
唐津が生んだ明治建築界の重鎮 辰野金吾(たつのきんご)(1854年~1919年)
嘉永7年(1854年)に唐津藩士の次男として誕生。14歳の時に維新となり、辰野家の養子に入って家督を継ぐ。明治4年に藩が設けた洋学校「耐恒寮」に入り、後に首相となる高橋是清に学ぶが、藩の財政が困窮したために塾は1年で閉鎖。
東京に引き上げた高橋を追って上京し、明治6年(1873年)に工部大学校造家学科(東京大学建築学科の前身)の官費生となる。明治12年(1879年)に同校を首席でそつぎょうした後はイギリスへ3年間留学。工部大学校の恩師コンドルの師であるバルジスの事務所などで建築設計の実務を学ぶ。
帰国後は工部大学校教授を皮切りに、帝国大学工科大学教授、工科大学長、建築学会会長などの要職を歴任。明治建築界最大のボスとして君臨する。明治36年(1903年)の大学辞職後は民間に事務所を開き、一般の需要に応じて、家屋・建築工事の設計監督の業務を開始。日本社会に設計事務所と存在を認めさせる大きな働きを残す。(現地案内板より)
赤レンガ調タイルによるアーチ窓と御影石の受飾突石
銅板葺きの尖塔
建物のアクセントとなる銅板葺きの尖塔