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大丸旅館 テイの湯

長湯の老舗旅館の温泉です。3代目女将テイが夢のお告げに従って、掘り当てた温泉です。

川端屋3

所在地:大分県竹田市直入町大字長湯7992-1
泉質:含鉄土類炭酸泉(マグネシウム・ナトリウム・カルシウム‐炭酸水素塩泉)
天然温泉源泉掛け流し・源泉温度46.7℃
温泉1kg中の主成分:マグネシウムイオン(Mg2+)314.0mg  炭酸水素イオン(HCO3-)2510.0mg  ナトリウムイオン(Na+)378.0mg  源泉温 46.7℃(気温 14.6℃時測定結果)
効能:胃腸病、糖尿病、リューマチ、神経痛、関節痛、疲労回復など

大丸旅館1

大丸旅館は、天満橋の手前の創業100年以上の老舗旅館です。子供の頃から「『長湯』と言えば『大丸旅館』」というくらい、長湯温泉の代表的お宿です。なんでも野口雨情氏、与謝野鉄幹・晶子ご夫妻などの方々が訪れたことがあるそうです。歴史を感じる老舗旅館です。
ロビーも昭和の雰囲気を残したまま、落ち着いた感じで、風情があり、新聞や本など読みながらゆっくりと寛ぐことができます。

大丸旅館2

内湯はひのき風呂で、川側が前面大きなガラス張りになっていますので、芹川の長閑な風景を眺めながらゆっくりと温泉に浸かることができます。ガラス張りになっていますので、初夏の蛍が舞う時期はきっと絶景だと思います。(残念ながら私はまだ経験がありません)
お湯は笹濁りで、温度はけっこうあり、お湯に浸かった肌を触ると、少しきゅっきゅっとした感じがします。
奥の方に扉があり、そこを開けるとこじんまりとした岩作りの露天風呂があります。露天風呂の方のお湯は少しぬるめですので、川風で涼みながら長湯することができます。

大丸旅館3

長湯温泉は、くじゅう連山の麓にあり日本一の炭酸泉といわれ、昨今ではテレビ等でもよく紹介されるようになりました。
炭酸泉は無数の気泡が体を包み、血行を促進するため、神経痛や心臓病に効くと言われています。また、長湯温泉の特徴として、「飲泉場」と呼ばれる、温泉水を飲む場所があります。炭酸泉は飲むことにより、胃腸の働きを活発にし、胃腸病や便秘糖尿病に効果があるそうです。
長湯温泉では、それぞれの独自の源泉を持っていますので、同じ炭酸泉といっても、温度、色、香り、味、効能などがそれぞれ違います。涼しい風に当たりながら川沿いを散策し、ぽかぽかのほほ~んっと色々なお湯を楽しみ、みなさんそれぞれのお気に入りの温泉を探されるのもいいですね。

大丸旅館4

長湯温泉が日本一の炭酸泉といわれるのは、炭酸ガスの含有率が非常に高く、平均濃度が1,200ppmもあり、濃度は炭酸入浴剤(花王のバブ)の約7~12倍だそうです。
長湯温泉は、湧出量が豊富で、炭酸泉にしては珍しく高温(36度以上)で、世界でも珍しい貴重な温泉だそうです。
高校の時の同級生に長湯の方が10人以上いましたが、みんな色白で肌がとっても綺麗でした。やはり、長湯温泉効果だったのでしょう。

大丸旅館5

ガニ湯の上の道から、天満橋を渡ってすぐに大丸旅館はあります。大丸旅館の「テイの湯」は、温度も十分あり、とろみのあるお湯です。
肌をゆびでこすると、「きちきち」というか、「きしきし」というような感じがして、ゆっくりつかると温泉成分が「しみこむ・・・しみこむ・・・」という感じです。
大丸旅館を芹川側からみると、湯の排出口近辺に温泉成分の析出物が付着し、鍾乳石のようになっているのが見えます。温泉成分の濃さを物語っています。
私が子供の頃は、長湯温泉のお湯を飲んでも美味しいとも有り難いとも感じず、「うへぇぇっ」と吐き出していました。こんなへんてこな味の温泉水を美味しそうに飲む大人を見て、「大人って変!」と思っていたものでしたが、今は長湯を訪れるとしっかり飲泉して帰ります。
しかし修行が足りないのか、未だに美味しそうには飲めません。のどをしゅわしゅわっと刺激する炭酸に「うひょぉぉっ」と唸りながら飲んでいます。けっして美味しいとはいえませんが、この炭酸泉を飲むと胃がすっきりとし、胃腸の調子がよくなります。

大丸旅館6

大丸旅館「テイの湯」秘話

昭和30年代の終り、当時の長湯温泉は40度にも届かないという低温と、源泉の乱掘による全体的なガス圧の低下で自噴できない泉源が増加するという、二つの深刻な問題を抱えていました。
当館でも源泉は枯渇状態となり、新たな源泉を求めざるをえない状況にありました。そんなある日、三代目女将テイの夢枕に白髪の老人が現れ、隣の茶畑にすばらしい高熱泉が湧出するだろうと告げたのです。
その話を聞いた息子作平は、さっそく行動に移し、この温泉地としては最も浅い90メートルとういう深さで50度という、まさに高熱泉の泉源を掘り当てることに成功しました。テイの夢が掘り当てた、不思議な縁のある名湯がここに誕生したのです。(現地案内板より)

川端屋2

与謝野鉄幹さんと与謝野晶子さんの歌碑

天満橋を渡ってすぐのところに、与謝野鉄幹さんと与謝野晶子さんの歌碑があります。
芹川の 夜の流れより 上りきて 蛾の座りたる 湯宿の卓 【晶子】
芹川の 湯の宿に来て 灯りのもとに 秋を覚ゆる 山の夕立【鉄幹】

大丸旅館には、大丸旅館外湯 ラムネ温泉館という別館があります。大丸旅館にご宿泊のお客様はラムネ温泉館を利用できます。(ラムネ温泉館自体には、宿泊施設はありません)
長湯は、古くから外湯というシステムが発達した温泉街です。「外湯」とは温泉街において、宿泊している旅館以外のお風呂を借りに行くことです。
長湯温泉、湯平温泉などは、公衆浴場や大衆浴場、共同湯、立ち寄り湯可能な旅館などがたくさんあり、かなり古くから「外湯文化」が根付いているようです。リーズナブルな料金で様々な温泉をはしご湯するのは長湯温泉や湯平温泉の醍醐味です。


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