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一松邸内部

昭和2年9月から2年間かけて建てられた一松邸は、当時の贅と技術の粋を結集した造りで、木造建築の醍醐味をご覧いただけます。杉の柾目の一枚板を敷いた縁側、格天井を客人用のトイレに施すなど、贅沢で洗練された趣が屋敷を包みます。その一方で、取り外し可能な掛障子、戸袋を減らすために雨戸を直角に回転させる工夫を施した回り戸など、機能的で合理的な技術は現在でも十分に通用します。

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玄関正面の床の間

玄関正面に床の間があるのは典型的な武家屋敷の造りです。一松家のご先祖が武士であったことから家全体が武家屋敷を意識した造りになっています。床板は栃(とち)の一枚板を使っています。栃の木になる実は、不老長寿の木の実と言われ、栃餅などで親しまれています。

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書院造のお座敷

書院の障子は組子細工が施されています。組子細工はすべて職人の手作業で造られたものです。特に上段部分の組子はその形状から松皮菱と呼ばれていて、昔は身分の高い者しか用いることができなかった模様の一つです。見る角度によって奥行や独特の美しさを感じるこの組子模様は、まさに職人技術の結晶ともいえるべき作品です。
柱と長押は木曽から取り寄せた栂(つが)の木を使用しています。栂は美しい木目が特徴の高級材料です。

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松皮菱の組子細工

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組子細工

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組子

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掛け障子

季節によって障子を取り外すことができ、部屋の雰囲気を変えたり、風の流れを調整することができます。

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掛け障子欄間

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床の間

書院造りの床の間です。武家屋敷の9割以上がこの造りになっています。床板には欅の一枚板が使われていて、床柱は一松邸の中で一番高い材料「黒柿」が使われています。黒柿とは普通の柿の木が樹齢を重ね土壌に含まれる金属や樹木の内部で進行した微生物の影響によって色素が蓄積された結果、偶然このような模様になったものを呼びます。一万本に1本あるかないかの貴重な黒柿の値段は今の価格で500万円以上と言われています。

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竹篭

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雪見障子

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手吹きガラス

手吹きのガラスですので、ガラスの表面が微妙に波打っています。そのため外の景色が波打って見えます。

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松の木の床板

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1本の杉の丸太で作られた縁桁

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お縁と縁桁

武家屋敷様式の特徴であるお縁とその上にある縁桁。お縁は無節・柾目の松板で長さが約8mあります。縁桁の材料は杉の木で、長さは約10mあります。この長さで両端の太さにあまり差がないところ、天然絞りと呼ばれる独特の模様が木の表面に表れているところなどから非常に珍しく高価な材料です。

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窓を開けると松の木が目の前に

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守江湾がみえます。

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八坂川に架かる橋がみえます。

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仏壇の飾り

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仏壇

上部の格子はすべてはめ込みでこの形式のことを筬欄間(おさらんま)と言います。障子の模様は麻の葉をイメージしたものです。麻には魔除けの意味があり、またすくすくとよく育つことから、赤ちゃんのお宮参りの時にもこの模様が用いられます。ちなみに宗派は浄土宗です。

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障子

障子の桟は角をなくすための面取り加工が施されています。これはお客様に対する心遣いであり、家族が過ごす部屋の障子とは区別されています。中央にある木の溝は雪見障子を立てるためのものです。雪見障子は一般的に上下に動かすものが多いのですが、これは左右に開く珍しいものです。残念ながらここに収まる障子は現在行方不明だそうです。

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