天念寺講堂
国の重要無形民俗文化財に指定された、天念寺修正鬼会が行われる講堂です。
所在地:大分県豊後高田市岩屋
修正鬼会は、地元では「鬼会(おにお)」又は「鬼夜(おによ)」と呼ばれています。修正会という正月法要と、鬼祭り、火祭りの行事が習合したと言われています。闇夜に舞う鬼が炎に照らされる、幻想的です。国東六郷満山を代表する伝統行事です。
養老年間元正天皇の頃(717年)に、国家安泰五穀豊穣成就などのため、京都青蓮院で行われたのが最初といわれています。天念寺が執り行っている鬼会は「鬼を追い出す」形式ですが、国東市では、平安朝時代以前の「鬼に会うことは祖先に会うことで楽しく過ごす」という考えで、この形式は全国でも珍しい。
天念寺耶馬(てんねんじやば)
天念寺堂宇の後背には奇岩、巨岩がそびえていて、天念寺岩峰とか、耶馬渓になぞらえて「天念寺耶馬」と呼ばれています。天念寺周囲の景観はその美しさから人々に広く愛されています。あの天念寺無明橋も天念寺耶馬の中にあります。
磨崖役行者像(まがいえんのぎょうじゃぞう)
戦国時代末期のもので、修験道の開祖とされる役行者が薄肉彫りされた磨崖仏です。天念寺講堂の左奥にあります。
役行者(えんのぎょうじゃ)は、役 小角(えん の おづの ・おづぬ ・おつの)とも呼ばれています。役行者は、飛鳥時代から奈良時代に実在した呪術者で、鬼神を使役できるほどの法力を持っていたといわれています。後に通称を役行者(えんのぎょうじゃ)と呼ばれ修験道の開祖とされています。
庚申塔(こうしんとう)
磨崖役行者像の手前にあります。庚申塔は、庚申塚(こうしんづか)とも呼ばれています。中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔のことです。
天念寺講堂内
ここ、天念寺講堂は、毎年旧正月七日に行われます。修正鬼会(しゅうじょうおにえ)の舞台となる場所です。一番奥には、主尊に薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)、脇侍(わきじ)に月光菩薩立像(がっこうぼさつりつぞう)が祀られています。
天念寺修正鬼会のポスターと講堂内
天念寺講堂内には、修正鬼会の案内板があり、修正鬼会の様子を写真付きで解説してくださっています。
写真は、修正鬼会のポスターです。平成22年の天念寺鬼会は、平成22年2月20日(土)に開催されました。「修正鬼会にご参加される方は、火の粉が飛びますので、服装には十分ご注意下さい。」と書かれていました。
修正鬼会の石碑
春また浅い 国東は 風花舞って 大地も凍る
新嬉に映える 山内に 記念の読経 相和して
千古の法燈 燃え盛る 六郷満山 あゝ鬼会式
歓喜の祈り 時流れ 法螺の音冴えて 深深暮れる
凍てつく渕の 水垢離や 暗夜を焦がす 大松明が
木立をわけて 散る花火 六郷満山 あゝ鬼会式(石碑の碑文)