旧千燈寺仁王像
旧千燈寺跡の半肉彫りの仁王像です。
所在地:大分県国東市国見町千灯 補陀落山 千灯寺 (千燈寺跡)
新緑の頃の千燈寺跡です。半肉彫りの仁王像に新緑が映えて美しいです。
駐車場から登ると西行戻しの場所に着きます。西行戻しからさらに進むと、伽藍跡に着きます。旧千燈寺の伽藍跡には堂宇はありませんが、中心となる護摩堂跡に一対の仁王像が立っています。
向かって右が阿形、向かって左が吽形です。仁王像は、一枚岩に半肉彫りにされた大変珍しいものです。
旧千灯寺の仁王像
紅葉の頃は、いつもに増して美しい光景です。赤、黄に紅葉した木々に囲まれ、落葉が敷き詰められ、仁王像にも落葉がハラハラと降り注ぎます。
向かって右が阿形:像高193cm 向かって左が吽形:像高180cm。幅114cm、厚さ30cmの四角石板に半肉彫りした勇壮で力強い傑作でです。仁王像に銘文はありませんが、鎌倉期の作品だと言われています。紅葉を眺めながら、落葉を踏みしめ、石段や石畳を上っていくと、この美しい光景が待っています。
千燈寺跡の仁王像
まだ紅葉には早かったようです。半肉彫りの仁王像。迫力がありますが、造形美も素晴らしいです。この素晴らしい仁王像をずっと守って頂きたいです。
かつては西の高野山と言われていた旧千燈寺。しかし、天正年間に大友宗麟による焼き討ちにより大規模な伽藍は焼失しました。その後、文禄年間に再建されましたが、往時の繁栄を取り戻すことはありませんでした。
大友宗麟、クリスチャン大名だったはずですが、無残なことをするものです。旧千燈寺を開基した仁聞は、旧千燈寺の奥の院枕の岩屋で入寂したと伝えられています。仁聞は、国東に28もの寺院を開き、6万9千体もの仏像を造り、修正鬼会を創始したと言い伝えられています。この旧千燈寺の奥の院枕の岩屋で、今もきっと静かに見守ってくださっているのかもしれませんね。
旧千燈寺の仁王像のアップです。表情が豊かで迫力があります。角度によっては違う表情に感じます。目、耳、鼻、口、全部大きいです。鼻腔も大きく、相当鼻息が荒そうに感じます。阿形と吽形、二人揃って阿吽の呼吸で、今も千燈寺跡を守り続けているのでしょうね。仁王像は金剛力士像とも呼ばれ、仏法を守護する阿吽一対の力士像。阿形は、悟りを求める菩提心(ぼだいしん)を表し、吽形は、その結果としての悟りを意味しているそうです。阿形は「あ」を発生した時の口の形、吽形は「うん」と言った時の口をむすんだ形ですね。ずっと表情を拝見していると、段々優しい顔に感じてくるのはなぜでしょう。