日奈久温泉と山頭火
種田山頭火が昭和5年9月に日奈久温泉を訪れた際、行乞記の中で日奈久温泉を称賛しています。
昭和5年9月に種田山頭火は日奈久温泉の織屋旅館に宿泊し、その日記の中に「温泉はよい、ほんとうによい。ここは山もよし海もよし、出来ることなら滞在したいのだが、いや一生動きたくないのだが…」と日奈久を称賛しています。
そんな日奈久の温泉街の軒先には、丸太を輪切りにして作った板に山頭火の句を書いて下げています。
様々な大きさの、様々な色の板に俳句を書いて、軒下に下げています。
濡れてすずしく はだしで歩く 山頭火
やっぱり一人が よろしい 雑草 山頭火
波音おだやかな 夢のふるさと 山頭火
うしろすがた たのしぐれてゆくか 山頭火
病めば 梅ぼしの赤さ 山頭火
どうしようもない わたしが歩いてゐる
歩きつづける 彼岸花 咲きつづける 山頭火
なんぼう考へても おんなじことの 落葉ふみあるく 山頭火
ひなたへ机を 長い長い 手紙を書く 山頭火
また見る こともない山が 遠ざかる 山頭火
もらうてもどる あたたかな 水のこぼるゝを 山頭火
濁れる水の 流れつつ澄む 山頭火
生えて伸びて 咲いている 幸福 山頭火
おちつけないふとん おもたく寝る 山頭火