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熊本城・本丸御殿の杉戸と杉戸絵

熊本城本丸御殿内には、現存する杉戸や復元された杉戸が展示されています。

杉戸1

杉戸絵について

杉戸は縁と部屋の仕切りとして設置される建具のひとつです。
黒塗りの框に杉の一枚板をはめ込んで作った板戸で、古くから絵を描くことが通例となっており、大和絵の花鳥図などが描かれていました。
本丸御殿では「御天守密書」により、縁などの部屋境に杉戸の位置、画題や絵師名が判りました。
部屋正面に展示している杉戸絵は本丸御殿(昭君之間付近)の通路にあった杉戸絵を復元したものです。
また、部屋左側にある杉戸は、藩主御用絵師「杉谷行直・1790年~1845年」が描いた杉戸絵で、実際に熊本城内のどこかの建物で使用されていたと思われます。(現地案内板より)

杉戸10

現存していた杉戸と杉戸絵

「杉谷行直」筆の杉戸絵(裏)
細川家御用絵師の杉谷行直筆の杉戸絵で、引手金具に細川家の九曜紋が使用されていることから熊本城内もしくは花畑邸で使われていたと思われる。(熊本市の光永氏から寄贈された4対8枚のうちの2枚)
画題:「柏に鷲図」
樹木の守護神である葉守の神が住むといわれる柏と、勇猛な鷲を組み合わせて吉祥的な意味をもたせている。(現地案内板より)

杉戸11

柏の木にとまる鷲

杉戸12

柏の木

杉戸2

海棠に山尺鵲図

画題:「海棠に山尺鵲図」(かいどうにさんしゃくず)
美人にたとえられる海棠とめでたい鳥とされる山鵲を組み合わせて吉祥的な意味をもたせている。(現地案内板より)

杉戸3

杉戸は、廊下(広縁)の途中に何箇所かある仕切りのところに入る戸です。

杉戸4

杉戸が入る場所 (廊下の途中に何箇所かあります。)廊下の仕切戸が襖や障子ではなく、杉戸だったのは、鉄砲の弾や刀などが簡単に貫通しないためという意味もあったそうです。

杉戸5

紫陽花と尾長鳥

昭君之間の杉戸絵(裏)
「御天守密書」の記述をもとに描画。昭和君之間、西之廊下。画題:紫陽花と尾長鳥(現地案内板より)

杉戸6

杉戸には掛け金が付いています。

杉戸

掛け金

杉戸に掛け金と呼ばれる鍵がついていましたので、日頃は内側から鍵をかけて使っていたようです。杉戸の金具も装飾が凝っています。中央に桐の紋、周囲に桐の紋と桔梗紋がデザインされています。

杉戸7

鶴の杉戸絵

若松之間の杉戸絵(表)
「御天守密書」の記述をもとに描画。若松之間の縁側。画題:鶴(現地案内板より)

杉戸8

杉戸9

杉戸

杉戸が入る所

杉戸

付樋端

回廊の途中にあるのは、杉戸が入る場所です。鴨居部分に、付樋端(つけひばた)と呼ばれる漆を塗った細長い桟木を組み込んでいます。一般住宅では、鴨居や敷居を削って襖を立てる部分を作りますが、熊本城本丸御殿では、このような美しい仕上がりになっています。

杉戸

付樋端

つけひばた

杉戸

杉戸15

杉戸絵の復元の際に用いられた絵具なども展示されていました。

杉戸16

硯と墨、乳鉢と乳棒、筆、岩絵の具など

杉戸17

金に映える藍色、アズライト(藍鉱石)は、群青色の原石です。マラカイト(孔雀石)は、緑青の原石です。

杉戸13

硯と墨、乳鉢や乳棒、なべなどの製作道具も展示されています。

杉戸14


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