芦屋釜復興工房
芦屋釜の里
所在地:福岡県遠賀郡芦屋町山鹿1558-3
芦屋釜復興工房では、芦屋釜の復興をはかるため、釜の製作に取り組んでいます。また、芦屋鋳物の調査・研究を進めるとともに、鋳物師の養成を進めています(養成期間は16年間)。近年では、その養成期間を終えた鋳物師が独立し、再び芦屋釜をはじめとする芦屋鋳物を地域の産業として根付かせるべく、町全体で復興事業を推進しています。福岡県では、「鉱工業品又は鉱工業品の生産に係る技術」、「文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源」の2分野で、「芦屋釜」が地域資源に指定されています。
中世、芦屋津と呼ばれた現在の遠賀郡芦屋町には、鋳物の専門集団が居住していました。大名や貴族らに珍重された茶の湯釜がその代表ですが、大内氏の滅亡により芦屋釜は江戸時代初期、歴史からこつ然と姿を消してしまいました。芦屋釜復興工房では、当時の技法を探り、復元を目指しています。
芦屋釜の制作過程
下絵・紙型
釜の胴部に入る文様の下絵を考えます。紙型をつくり、釜の形を決めます。
鋳型づくり
≪外型≫
釜の形の半分を挽板に写し取ります。
挽板の軸を固定し、回転させながら、荒い土から細かい土へと塗り重ね外型をつくります。
下絵を和紙に写し取り、外型が乾かないうちに貼り付け、上からへらで押し、文様をつけます。
鐶付の鋳型を埋め込みます。
≪中子(中型)≫
中子の挽板を回転させながら、中子をつくります。
中子の下半分は、外型(尻型)に土を込めて抜きとり、厚みの分だけ削ってつくります。
吹き(鋳込み)
外型に中子を組み込みます。鉄が焼き付かないように、煤を塗り付けます。
こしき炉で木炭を燃やし、鉄を溶かします。
溶かした鉄を杓で受け、鋳型に流し込みます。温度は1250℃以上にもなります。
仕上げ
吹きの翌日、型をあけ、釜を取り出します。
バリ(溶湯が鋳型の隙間から漏れたもの)などを取り除きます。
わらに砂をつけて表面を磨きます。また、砥石などを使って内面も磨きます。
表面をさびさせ、さび色を出します。(現地案内板より)