東田第一高炉
東田第一高炉史跡広場
所在地:福岡県北九州市八幡東区東田2-3
明治34年(1901年)に操業を始めた近代製鉄発祥の地・官営八幡製鐵所の第一高炉(第10次改修高炉)一帯を指定文化財に指定し、史跡公園として公開しています。
東田第一高炉
494立方メートル・火入れ:1901年2月5日
東田第一高炉は、1901年に火入れが行われた後、たびたび改修を受けました。この航路(第十次改修炉)は現代の製鉄技術である超高圧高炉を日本で初めて導入した、当時の最新鋭溶鉱炉で昭和37年から47年まで稼働しました。(現地案内板より)
高炉
鉄鉱石を溶かし鉄を取り出す炉のことを高炉といいます。高炉の中には、鉄鉱石などの原料と、それらを溶かす燃料のコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)が層になるように交互に入れられます。そこへ熱風炉から約1000℃~1200℃の熱風を吹き付けてコークスを燃やし、原料を溶かして銑鉄を取り出します。(現地案内板より)
高炉は、一昔前までは「溶鉱炉」と呼ばれていました。しかし、鉄鋼需要の拡大とともに溶鉱炉は大型化し、炉の高さもそれに合わせて高くなっていき、製鉄の場合は「高炉」と呼ばれるようになったようです。(現地案内板より)
鉄(銑鉄)は原料である鉄鉱石などを高い温度で溶かして作ります。そのとき、燃料にするコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)からガスが出ます。このガスにはまだ燃えるものが含まれています。この東田第一高炉では、このガスを再び集めて熱風炉の中で燃やし、その熱を鉄鉱石などを溶かす熱源として利用しました。このため、効率よく高炉の火を24時間燃やし続けることができたのです。さらに、現在、保存している第10次改修炉には、わが国最初の高圧操業装置が設置されていました。これは、高炉内のガスの圧力を上昇させて、熱交換率を高める装置です。これにより、生産量を増大することができました。現在の高圧操業法のはじまりです。(現地案内板より)
傾斜塔
Skip Bridge
鉄の原料となる鉄鉱石や燃料のコークスなどは、高炉の上から中に入れられました。このとき、地上から高炉の上まで、原料などを運ぶ役割を果たしたのが、この傾斜塔です。ここに大きなかごを取り付け、上まで原料を運んでいました。(現地案内板より)
東田第一高炉史跡には、4月になると桜が咲きます。
桜の近くのパイプに野鳥がとまっていました。
鉄を作る原料
鉄を作るには、鉄鉱石・石炭・石灰石の3種類の原料が必要です。原料を無駄なく使うため、粉になった鉄鉱石は石灰石の粉とまぜて焼き固め、粒を大きくしてから使います。これを焼結鉱といいます。また、石炭は蒸し焼きにしてコークスにし、鉄を作る燃料として使います。
これらの原料から鉄1トン(1,000kg)を作るには、鉄鉱石約1.69トン(1,600kg)、石炭(コークス)約0.5トン(500kg)、石灰石約0.02トン(20kg)、その他の原料約0.08トン(80kg)、合計約2.2トン(2,200kg)が必要です。(現地案内板より)
転炉
この転炉の形式(純酸素上吹き転炉)は、昭和32年9月に八幡製鐵第5製鋼工場に日本で最初に導入されたもので、現在主流の形式になっています。展示している転炉は、重さが300トン以上もあるため、16個に分化して、東田第一高炉史跡広場へ運び、再び組み立てました。(現地案内板より)
転炉では、高炉から運ばれてきた銑鉄にくず鉄や石灰石などを入れて酸素を吹き込み、レールや自動車部品などいろいろな使用目的に適した粘りのある強い鋼鉄を作ります。
転炉という名前は2つの意味があります。ひとつは炉をくるっと回転させることで鋼鉄を流し出す仕組みであること、もう一つは、転炉の英語CONVERTER(転換する者)から付けられました。(現地案内板より)
トーピード・カー
高炉で溶かされた銑鉄を転炉へと運ぶ役目をするのが、トーピード・カーです。トーピード・カーは、溶けた銑鉄を積んだまま、イオウやリンなどの不純物を取り除く溶銑予備処理を行います。形が魚雷(トーピード)に似ていることから、この名前が付けられ、別名「混銑車」とも呼ばれていました。
昭和5年、八幡と戸畑の間に専用鉄道が作られ、戸畑で取り出された銑鉄を鍋台車で転炉などがある八幡へ運んでいました。また、八幡から戸畑へは廃滓や建設残土などを運んでいました。この機関車は専用鉄道幹線当初に使われていたもので(昭和4年製)、また、トービードカーは東田は使われていませんでしたが、ともに銑鉄輸送のシンボルとしてここに展示しています。(現地案内板より)
熱風炉
Hot Stove
熱風炉は、ガスを燃やす部屋と耐火煉瓦を積み上げて熱を蓄える部屋から出来ています。熱風炉は、一つの高炉で3基ぐらいを一組として造られました。
(1)一つの熱風炉にガスを通して燃やし、中の耐火煉瓦を温めます。
(2)この間に、予め温めておいた他の熱風炉に空気を送り、熱い風(約1200℃)にしてから高炉に送ります。
(3)この操作を一定時間ごとに切り替えることにより、絶え間なく高炉に熱い風を送ることができるのです。(現地案内板より)
煙導弁
Breeching Valve
熱風炉から煙道に送る煙の量を調節するものです。(現地案内板より)
高炉鉄皮
昭和37年(1962年)から昭和47年(1972年)まで、この東田第一高炉で鉄が作られていたときの高炉の外側(鉄皮)です。このような厚い鉄板で高炉全体を覆い、炉の中に高い圧力をかけても壊れないようにしていました。なお、この鉄皮は東田第一高炉が操業していた当時(昭和37年~昭和47年)のものです。(現地案内板より)
煙道弁作動モーター
Breeching Valve Operating Motor
煙道弁を動かすのに使われたのがこの機械(モーター)です。(現地案内板より)
隣接するスペースワールドの観覧車やジェットコースターが見えます。スペースワールドは、平成29年(2017年)12月31日に閉園しました。