旧西原家住宅1階
旧西原家
所在地:福岡県糸島市前原中央3丁目18-15
豪商西原家の建物です。現存する建物は、安政2年(1855年)に呉服業を独立させた分家の建物で、明治34年(1901年)に新築されたものです。
糸島地方で屈指の商家として栄えた西原家は、屋号を綿屋といい、江戸時代の中頃より唐津街道の宿場町であった前原宿に出て商売を始めたと伝えられています。最初は、小さな商家だったようですが、櫨実や菜種等の取扱いを始め、醸造業、質業などに着手し、その後、貸付や酢醤油製造、呉服業など商品流通の波を巧にとらえ事業を拡大しました。
福岡藩黒田家への財政支援にも積極的に応じ、藩から褒賞を頂戴するなど「西に前原綿屋あり」と称される豪商にまで成長しました。明治時代になると、呉服業を継続しながら煙草販売や郵便取扱業務を請け負い、明治25年(1890年)には「前原商会」を発足させ、明治39年(1906年)には「老松座」を建設して農閑期に芝居の興行を行うなど篤志家・名望家として地域貢献に尽くしました。
現存する建物は、安政2年(1855年)に呉服業を独立させた分家の建物で、明治34年(1901年)に新築されたものです。敷地内には、郵便業務を行っていた建物や、茶室、三階建ての蔵造りの建物、多くの土蔵があったと伝えられていますが、現在では主屋が残るのみです。しかし、内部空間のすばらしさにより当時の繁栄を偲ぶことができます。
平成17年に、この建物の所有者から解体を依頼されましたが、歴史的な価値が高く、旧唐津街道前原宿の景観を残す上で非常に重要な建物であると判断し、建物を壊さずにいかす方策を考え、会社独自で修復・保存をおこないました。現在、ランチや喫茶の営業を中心に、地域の文化的な拠点施設として活用しています。
古材の森 (現地案内板より)
欄間
打ち出の小槌と巾着が彫られています。
帆掛け船が彫られています。